店長ブログ BLOG
その年、私たちは
オープンして3年目の夏は去年を上回る忙しさが続いている。
去年の8月は瀬戸内国際芸術祭のおかげで想像を遥かに超える忙しさで、もうさすがにこれ以上はないだろうと思っていたが、今年はそれ以上だった。
明らかにステージが上がった感じがしていて、たくさんのお客様の期待にこれまで以上に応えたいという責任感というか使命感みたいなものが肩に乗っかってきた。
ただ、それは重いというだけではなく、期待していただいていること、自分が人生をかけてきた手打ちうどんを求めてくださっていることに対する感謝でいっぱいだ。こんな自分でも人の役に立てていると思うと本当に良かったと素直に感じている。
定休日になると実家の部屋に閉じこもって独りになる。誰とも会わず、両親ともほとんど話さず、ただただ独りになる。夕方になってやっと動き始めて、本店に立ち寄って備品を車に積み込み、事務作業をして、店舗近くにある寮に戻る。寮に戻ると明日の営業のことを考え始める。明日もお客様は来てくれるだろうか?明日はうどん作りがうまくいくだろうか?
独りの時は本を読むかNetflixやU-NEXTなどでドラマを観る。
この1週間はNetflixで「その年、私たちは」を久しぶりに観た。今回で5回目。好きなドラマは数えきれないくらいあるが、5回も早送りせずに観たのは「その年、私たちは」だけだと思う。そう考えると一番好きなドラマかもしれない。
何度観ても飽きない。
「なぜ人はドキュメンタリーに出ると思う?」
「私に理由を考えろと?」
「我々が提供できるものは一つだけです。人生のひとコマを記録すること」
「確かに、それがどうした?という顔をする人がほとんどだ」
「撮影が終わり画面を通して見て初めてその意味が分かる」
「人生のある一瞬の記録がどれほど尊いものか」
このドラマはシナリオが素晴らしい。俳優も素晴らしい。ロケーションやセットもいいし、音楽もロマンチックだし、撮影も見事だ。
ただそれらは他の作品にも当てはまるだろう。
このドラマでしか味わえない魅力は1つだけ。
キム・ダミという類稀な女優を記録したことだ。梨泰院クラスのキム・ダミももちろんいいが、最高のハマり役は「その年、私たちは」のクク・ヨンスで間違いないと僕は思う。
「もっとも美しいものは、感情の揺らぎである」
たぶんゴダールがインタビューで答えた言葉だったと思う。
そしてこうも言った。
「映画は女優を記録するためにある」
感情の揺らぎを完璧に表現してみせたキム・ダミ、
そして、この作品はキム・ダミという女優を記録した。
僕はこの作品をあと何回観ることになるのだろう?
