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世界のヒエウ君
店長の村井です。
あるテレビ局からヒエウ君の取材をしたいというご依頼を受けて2日間に渡り撮影が行われました。
ベトナム国内向けに放送されるコンテンツで、ヒエウ君のインタビューを中心に構成されるとのこと。
ヒエウ君はやっぱり持っている。数えきれないほどいる職人の中で密着取材のオファーをもらえるのはごくわずか。18年頑張っても私にはそんなオファーはありません笑。
ヒエウ君を育てた先輩として僕もインタビューを受けました。話しているうちに気持ちよくなってしまい、脇役なのに2時間近く喋ってしまいました。
こういう時は用意していた言葉や考え抜いて絞り出した言葉よりも、パッと思いつきで喋ったことが意外と本質をついているかもしれません。
「職人の最後の仕事は自分の後継者を育てることじゃないですかね」
「お客様の目の前で手打ちをしている僕たち職人は演者でもある」
「絶対に教えられないものがあります。それはスター性です」
「最後は運。持っているかどうか」
「彼と出会えた僕も、僕に出会えた彼も、幸運だと思います」
「どんなに素晴らしい才能を持っていても、最高のトレーナーがいないと世界チャンピオンにはなれない」
「飲食店を立ち上げるなんて本来やるべきではない。かなりの確率で失敗しますからね。でも人生1回しかないから僕はやります」
「手打ちだけは簡単にはやらせません。だって僕が何年もかけて築いた城を明け渡すわけですから」
「打つ職人によって変わるのは当然です。体型も人間味も人それぞれですから。その持ち味を活かさないと手打ちする意味ないと思います」
「純粋さには敵わないですね。どれだけうどんに対して純粋に向き合っているか」
「一番価値を感じてもらえるのは、その人だけの人生のストーリー」
そしてインタビューの終盤で「ヒエウ君にはベトナム出店までの残りの期間、どう成長して欲しいですか?」という質問があった。
「そうですね。もう職人としては一人前ですからね。技術的なもので教えることはもうないです。あとはお店を任せられる存在になって欲しいですね」と答えた。
「あとどれくらいで任せられそうですか?」
「う〜ん、そうですね」
僕は言葉に詰まった。この店をヒエウ君に任せる?
お店を任せられる存在になって欲しいが、お店を任せるとは言っていない。そもそもこのお店を誰かに任せたいのだろうか?
混乱と葛藤のようなものが混ざり合った挙句、ポロッと本音が出た。
「このお店を任せることはないです。このお店を任せられると思った時は、彼がこのお店から出ていく時ですね。もしこのお店を彼に任せるのであれば僕がこのお店を出ていくしかないので。僕と社長がもう一緒に同じ店に立つことがないのと同じように。だから彼はベトナムでお店をやるしかないですね」
インタビューを終えて僕はとても寂しくなった。ずっと一緒に過ごしてきたヒエウ君といつか離れ離れにならなくてはならない。でもヒエウ君は僕の相方だ。代わりはいない。コンビを解消しても新しい相方を探す気になれない。
ヒエウ君がベトナムで一から築きあげた城で手打ちしている姿を目を閉じて思い浮かべてみた。輝いているその姿を見たいと誰よりも願っているのは間違いなく僕だと思う。
ヒエウ君の夢が叶った時、僕はこう自慢するだろう。僕が彼を世界チャンピオンに育てたんだぜ!
ヒエウ君の夢は僕の夢。
「人生とは他者という鏡に自分の姿を映し出すこと」と、ある映画監督が言った。彼に出会えたから今の僕があるし、彼と出会えなかったらこのお店もなかった。
幸せとは出会いそのものだと思う。
4月の営業カレンダー
店長の村井です。4月はこちらの営業カレンダー通り営業させていただきます。
「あなぶきアリーナ香川」のイベント時は大変混み合いますので、あらかじめご了承いただきますようお願いいたします。
ベトナムコーヒー
僕がやっと辿り着いた打ち台に立って、目の前に広がる夢のような光景を噛み締める。
お店の外には50名を超えるお客様のウェイティングの光景。
カウンター席で僕の手打ちを興味深くじっと見つめてくれているお客様。
テーブル席では笑顔で会話を弾ませて食事を楽しんでくれているお客様。
高松駅前を一望できるお座敷ではご家族や団体のお客様が一体となってステキな輪が生まれている。
スッタフのみんながテキパキと動き、お店全体を活気が包む。
赤字で閉店した静岡のお店で使っていた思い出の一刀彫りの看板をたくさんのお客様が写真におさめている。
ちょうど2年前、改装前のこの場所で、こんな夢のような光景を思い描いていたわけではない。1度しかない人生、この場所でうどんを打つことを決めた僕がいただけだ。そしてあの日、目を閉じて浮かべてみた。ここで夢中になって手打ちしている僕。メチャクチャ輝いていた。
気がついたらあっという間に2年が過ぎた。ヒエウ君が帰省した時にお土産で買ってきてくれたベトナムコーヒー。ずっとお気に入り。精一杯手打ちをした疲労感と達成感の中で、ハノイの空気を思い出させてくれる甘さと香りを楽しんでいると、柄にも無く心から幸せを感じる。かけがえのない日常の中で飲むベトナムコーヒー。頭の中ではこの曲が流れている。もちろん、それを知っているのは僕だけだ。
「たけのこ天ざる」スタートしました!
店長の村井です。
恒例の春の季節限定メニュー「たけのこ天ざる」と「たけのこ天盛り」がスタートしました!
香川県産の「たけのこ」を自慢のダシで下味をつけて天ぷらにしました。相性の良い、ざるうどんとともにお楽しみください!
単品の天盛りもございますので、お好きなおうどんとご一緒に、おつまみにもどうぞ。
いつだって今が最高
店長の村井です。先週は連日たくさんのお客様にご来店いただきました。本当にありがとうございます!
また、ご入店まで長時間お待ちいただきありがとうございました。期待してご来店いただいたお客様に、このお店を選んでよかったと感じていただけるよう、自分の持つ全てを込めて精一杯手打ちしました。
『 King Gnu CEN+RAL Tour 2026』
『かがわマラソン2026』
香川県がすごいことになっている。「高松駅前の賑わいづくりに貢献したい」という想いで立ち上げたシンボルタワー店ですが、目の前の光景を見ていると、もはや「賑わい」を通り越して「熱狂」にさえ見えます。
怒涛の1週間を乗り越えて、今は心地よい疲労感というか身体が悲鳴をあげております笑。
とにかくずっと、うどん作り。ずっと手打ち。ずっと茹でっぱなし。1杯1杯、目の前で心待ちにされているお客様に本当に美味しいものを自信をもって提供できているか、自問自答の繰り返し。
うどんを作っていると、ずっと夢中になれる。手打ちしていると、今を生きていることがよく分かる。今日も精一杯手打ちした、そう言い切れる毎日。
「手打ちうどん職人になりたい」という夢だけで飛び込んで、あっという間に18年が経ったけど、今もずっと夢中になってうどん作りをしている今の自分の姿は想像もしていなかった。
去年だったかな。ネットでたまたま甲本ヒロトの言葉に出会って、あっこれや!と思った。
「僕、夢って、十分よくわからないけど、なんか一つ取り憑かれて、なっちゃうようなもんな気がするんです。それって、一つのような気がする。で、僕は若い頃掴まれて、そっちに向かっていく時に、「バンドがやりたい」って思った。「バンドがやりたい」と思った。それが夢なんだって思った。色んな人の話を聞いてると、「おまえの夢はなんだ?」ていうと「バンドやってお金持ちになりたい」とか「バンドやって有名になりたい」とか2つ言う。一個にしとけ。金持ちになりてぇんだったらバンドは捨てろと。金持ちになりたいにしろよ。有名になりたいんだったら有名になりたいって言えよ。そのための手段としてのバンドだったら、なんでもいいじゃん。不動産勉強してお金持ちになってもいいし。悪いことして犯罪して新聞に乗れば有名になるよ。手段だろう。そうじゃないんだよ。夢っていうのは目的なんじゃないかって僕は思うんです。そういうことで考えると、僕は十代の頃バンドを始めた瞬間に叶っている。そして、今もやってるからずーっと叶っている。ずっとこのままで良いんです。めちゃめちゃ楽しい。あの頃よかったなんて一回も思ったこと無いよ。今もおんなじだもん」
中学1年の時、ブルーハーツと出会った。誰も言ってくれなかった事、誰も教えてくれなかった事を、甲本ヒロトはあの声で僕たちの心に突き刺してくれた。
そう、僕もずっと夢を叶えっぱなしだ。ずっとこのまま、うどん作り。それでいい。
